距離感

台湾の方は距離感が思ったよりも近い。学生たちは私に文字通り寄り添って(寄りかかって)中国語を教えてくれる。勉強しながらお菓子をみんなで食べるときは、「あーん」と口まで運んで食べさせてくれる。多分、手は洗ってないが、自分の体も強くなると思われるし、食べる。

街を歩くと、私以外の歩行者や自転車はほぼ居ないが、バイクや車は私のすれすれをビュンビュンと行く。車やバイク同士も距離が近いのだが、あまり事故は見たことがない。1㎝で避けていくスゴ技を身に着けているのだと思う。

お店でレジに並んでいると、おじいさん2人に抜かされた。台湾の洗礼かとも思ったが、私が並んでいるスペースが遠いのだと妻に言われた。私としては、十分に近づいていたのだが、台湾の物差しではそれは並んでいないことになるようだ。

一人目のおじいさんは私の前に明らかにグイっと入ったが、確かにグイっと入れるスペースは空いていたと思う。隙間なく並ぶという脳がない私にはできない芸当だが、スゴ技を学習できたと思う。

一人目のちょっと後に来た二人目のおじいさんは私が並んでいる正規と思われた列とは逆向きに並び始めた。私の足元には赤いラインがあって、そこに並ぶものだと思ったが、その常識を凌駕する何かには全くかなわなかった。幸いにもいつもの店員さんは慣れた手つきで、一瞬で煙草をレジ打ちして販売の一連の動作を終える。

問題なく買い物を終えて家に帰ると熊がいない。家出したと妻に言われて少しドキドキしながら考えたが、こちらも問題なく発見し、無事かくれんぼを終える。

一日が終わりに近づくと、無事過ごせた実感を持ちながら、森羅万象に感謝。