これ以上美味しい白いご飯の食べ方なし

車で1時間30分ほどのところにおじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる。80歳を超えているらしく、トイレや高いところの埃を掃除するには体力がいる。ほかの家族は時間がないらしく、誰も掃除していないそうだ。

妻と私は業務用の掃除機、モップ、カビ落としなどを持って行き、掃除すると申し出た。しかし、おじいちゃんとおばあちゃんは掃除しなくていいと言う。それはそうだろうと思っていた。私はまだろくに言葉も通じないし、孫の旦那だ。家族というよりは客人という意識がまだ強いということは容易に想像ができる。そんな人に家中掃除されたら気が落ち着くわけがない。慣れるまで、掃除は二の次だと思っていた。

おじいちゃんはしきりに椅子に座っててというので、トイレに行くついでにカビ落としでトイレをこっそり奇麗にした。私はソファーに座り、妻はせっせと掃除機、モップ掛けに精を出していた。

昼食はおばあちゃんが作ってくれた。

左端から時計回りに肉の卵とじ、果実の卵とじ、ルーロウファン

卵と果実の炒め物、肉の卵とじ、肉の煮物と白ご飯。台湾の白ご飯は日本の白ご飯とは食べ方が違う。お肉の油がふんだんに含まれたしょうゆベースのおかずをかけて、ご飯の表面だけ軽く混ぜてから食べる。白ご飯のまま食べるということはこれまでなくて、白ご飯のおむすびも見たことがない。日本よりもお米は薄味で、各粒は粘り気が少なく、ほろほろとしている。そういったタイプのお米には、油がたっぷりのお肉スープをかけて食べると抜群に相性が良い。油で薄くコーティングされたお米はそれだけで何杯でも食べられる気にさせる。ご飯にかけるお肉の味は、やや薄味なので、他のおかずと口の中で混ざっても美味しい。まさに台湾のお米に適合した、作られるべくして作られた、おばあちゃんが知る極上のレシピだと思った。

そんな素晴らしいレシピは、おばあちゃんしか知らない妻は言う。おばあちゃんの子供たちは引き継ぐことなく、このまま消えてしまって良いはずがない。せめて私の頭にでも入れておきたい。